2020/05/04 20:44



小中学生の頃 私は "有紀(ゆうき)" というちょっと不思議な女の子ととても仲良くなった。
有紀とは 毎日交換日記をしながら 更に授業中にも関わらず手紙交換したり(笑)クラスが変わっても互いの家を行き来するなどして遊んでいた時期があった。


有紀がある日突然


「神さまが見えたの」


と言い出した。
有紀が元々霊感がある事は知っていたけれど
幽霊の類ではなく神さまだと言うから驚いた。


「繭も会いに行く…?
繭にだけなら 教えてあげる…」


と言い その方法を教えてもらった。
それは秘密の儀式だったので詳細は割愛しますが 半身が映る鏡の前に立ち 所謂 "瞑想状態" を作り そしてもう忘れてしまったけれど ある呪文のようなコトバを3回唱えるのだ。暫くすると鏡の向こうに…


それから私たちは 鏡の向こうに映る "存在" の話で夢中だった。
有紀はどんどんその "存在" と繋がりが強くなり やがて声が聞こえるようにもなっていった。
しかし私は 鏡の向こうにその "存在" が映ることは一度もなかった。
有紀のことは大好きで最も信頼しきってもいたけれど それは有紀にしか見えないものか 或いは有紀の妄想か 或いは…と密かな疑問を抱き始めていた。


彼女はとても感性が豊かでカンも鋭かった。
彼女にはいつも "物語" があり 私はそういう部分にも惹かれていたのだと思う。
けれど少しづつ現実離れした発言が加速してゆき 風見鶏の様に人格がころころ変わるところが出てきて 段々ついていけなくなった。
彼女との間にじわじわ拡がっていった溝はどうすることもできなかったけど それでも あの頃の彼女を私は今でも信じているところもある。



人とモノとの間に静かに生み出されている世界や 其処に広がる様々な質感…
その繋がりには その方を取り囲む空気感や哲学的な思想などが文脈となって 微かに見え隠れすることもある。
オーダーを通してその繋がりに触れさせていただき ひとつひとつカタチにしてゆく中で この世界には 目に見えない別の美しい世界が 本当にたくさんたくさん存在している…
ということをより感じるようになりました。
その方の視ているビジョンが その場にまるで生きているかのように存在を露わにする。
これって割と日常にもあることで 鏡の様な世界だなと。


例えば植物や樹木や生物などを見て 意識がその "存在" の方へと向かってゆくと "わたし" はその場から消えて 代わりに見ている存在の方が自分の中に流れ込んでくることがある∞
風にそよぐ木の葉や陽光を浴びる花 雨水が浸透してゆく樹皮や花を啄む鳥の "意識(のようなもの)" が伝わってくる。
決して相手の中に自己を投影させるのではなく 好き嫌いや固定観念なども一切外した状態で そのままを見て移しとるように感じる という姿勢の中で その存在は分身の様にわたしの中で ”永遠” となる。



日本には 八咫鏡という三種の神器があります。
鏡は神の力を持ち 真実を映すとされています。
古事記では 岩戸隠れした天照大御神を岩戸から引き戻す際 八咫鏡が使われたと云われてます。
天照大御神をカタカムナの思念で読み解くと

「自分の命の奥に存在する力の実体」

この世界の生命体が 太陽の熱と光によって生かされているのであれば 太陽は生命そのものともいえるかもしれない。
自分たちの中に棲まう根源的な力を 太陽神=天照大御神というビジョンとして捉えてみると 私にはとてもしっくりくるものがあります。
そして日本の神社に備わる鏡の意味も。


また お仏壇等にお供えする切り花やお水や法具。
それらが何故 拝する私たちと同じ向きではなく 私たちの方へ向いているのかというと 仏身は人の心の中に存在するものだから…と聞いた事があります。
つまりお仏壇等にお供えする切り花やお水や法具は 拝む人の心に宿る 仏さまや神さまを敬う精神そのものをあらわし その心や精神性を通して 鏡のように映し出され生きるのであると。



今朝このことを考えていら あまりにも古い記憶が甦ってきたのでした。


有紀が捉えていた "存在" とは 目の前の鏡に映るもののことではなく 自分という鏡を通して心の中に既に息づいていた ある種の "影" を語っていたのかもしれません。
勿論 普通の中学生がそのような境地に?..とも思いますが 今でしたらそう考える事もできます。
目の前の鏡を幾ら覗き込んで 神らしき存在を探してみても それは自己の幻影や幻想を投影しようとしているに過ぎず 当然見えることはない。つまりそれは 外部に自己や自分の意識を明け渡している事と似ていて そこに ”わたし” の真実や本質は存在しないよ。とも言えるのではないだろうか。
真実の鏡は いつも私たち個々の内部にあるのだと。
そして私たちには 森羅万象を映し出す鏡を 各々内部に備えているとも。



現在 全世界の人類の前に 亡霊の如く現れた新型コロナウィルス。
このウィルスの感染を防ぐ為に提唱されている「Stay Home」。これによって全世界の人類が 現在各々の「Home=内面」の中で これからの生き方やこの先の未来にどう参加してゆくのかを問われています。
このウィルスが人類に示唆する事ともリンクしていて 私たち人類は もっともっと自分の内部の力を信じ 本質を目覚めさせてゆく必要があるのだという事を 強く思った一日なのでした。